住宅ローン破綻のニュースから考えたこと
テレビのニュース番組でコロナウィルスの影響で住宅ローンの支払いが困難になったAさんの話が放送されていました。
それを見て最初によぎった思いは・・
「コロナウィルスの影響がなかったとしてもこれは危ない。住宅ローンを借りる前に誰かアドバイスしてくれる人はいなかったのかな・・」
Aさんの月収や住宅ローンの毎月支払額などは以下の通りです。
ちなみに、ご主人さんは自営業で、奥さんはパートで働いていらっしゃるようでした。
月収:夫38万円、妻10万円
住宅ローン返済額:月14万円
教育費:月6万円
月収のうち約29%を住宅ローンの支払いにあてていることになります。
この数字を見ただけでも、まず黄色信号です。
「じゃあ何%以下なら大丈夫なの?」という疑問を持たれると思いますが、「○○%以下ならみんな大丈夫」という数字は無いと思っていただいたほうが良いです。
それでもあえて数字を出すとしたら・・
感覚としては25%前後あたりから黄色信号で、そこから貯蓄など細かく家計の状況を見て判断となります。
「25%以下だから大丈夫」と安心はしないでくださいね。
25%とか30%という数字はあくまで目安ですのでご注意を。
かなり脱線してしまいました。詳しい話はこちらの記事をご覧ください。参考記事:住宅ローンの返済比率25%なら家計は大丈夫なの?
話をAさんに戻します。
Aさんの食費などの支出全体がいくらなのかは分かりませんでしたが、分かっている情報から推測すると、貯蓄に回せるお金はそれほど多くなかったと思われます。
その理由は
今までに貯蓄ができていれば、今回のように想定外の出来事で収入が急減する事態になっても繰上返済を行うことで、毎月の返済額を減らすこともできます。
貯蓄が少ないと繰り上げ返済を行うことはできませんので、危機を脱するために自分で行えることが一つ減ることになります。
このように貯蓄が少ない状態で、家計にとって負担の重すぎる住宅ローンを借りてしまうと想定外の危機に対応できません。
コロナウィルスの影響で収入が減ってしまったのは、もちろんご本人のせいではありません。
それでも結果的に、一番大きな影響を受けてしまうのは自分自身です。
家を買った住宅会社も、不動産会社も、住宅ローンを貸してくれる金融機関も助けてはくれません。
(金融機関は返済の猶予をしてくれたり、金利を下げてくれたり、一定の相談に応じてくれる場合もありますが住宅ローンの返済が無くなるわけではありません。)
それが現実です。
自分自身や自分の家族は自分で守る必要があります。
厳しいことを言うようですが、お金のことにおいて、「誰かが助けてくれる」は通用しません。(親類が資産家であれば何かあったときに助けてくれるかもしれませんが。)
住宅ローンの金額はこんなに重要なことなのに、すごく簡単に決めている方は実際に多いです。
簡単に決めてしまう理由の一つは、「ネットの情報」だと思います。
「年収600万 住宅ローン」などのキーワードで少し検索しただけでも、たくさん情報が出てきます。
「4,000万円でも大丈夫。」
「3,000万円なら借りてOK」
「2,500万円までしか借りてはダメ」
一体どれが本当なのでしょうか!?
ネット検索だけで情報を集めた人の行動はこんなパターンに分かれるのではないでしょうか。
- 「年収600万円の人は○○万円まで借りてOK!」などの情報をそのまま信じてしまうパターン。
- 多くの情報を集めすぎて処理しきれなくなり、考えることをやめてしまうパターン。
こういう状況にならないためにやるべきことは・・
自分の家計と住宅ローン返済のシュミレーションを行うことです。
これはライフプランと呼ばれています。
ライフプランはいくら住宅ローンを借りても大丈夫なのか分かるだけではありません。
人生の全体お金のプランを作りますので、自然と自分の人生に向き合ってじっくりと考えることになります。
仕事や、家族や、家のことはもちろん、生き方そのものを見つめ直すきっかけになったという感想を頂いたこともあります。
私は住宅ローンの金額を決めるときにはライフプランを作りましょう、とずっと言い続けています。
このような話をすると相談に来ていただいたほとんどの方が、ライフプランの重要性を理解していただけるのですが、世間的にはまだ浸透してはいないなと感じています。
ライフプランを作って、住宅ローンはもちろん、人生全体のお金を見通してみましょう。
投稿者プロフィール

- 住宅不動産コンサルタント/1級ファイナンシャルプランニング技能士/宅地建物取引士
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株式会社ライフオブライフ代表。
住宅相談を専門とする住宅不動産業界歴19年のファイナンシャルプランナー。買う方の立場に立った「住宅コンサルティング」「将来家計のサポート」を行う
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