失敗しない住宅ローンの組み方
住宅ローンの組むときに、検討しなければならない主なポイントは5つあります。
- 住宅ローンの額
- 金利タイプ
- 借入年数
- 借りる人は誰か
- 金融機関、諸費用
そして、5つのポイントを検討する前にしなければいけない最も重要なポイントがあります。
それが「0番目のポイント」です。
残念ながら、住宅ローンを組むうえで最も重要で、一番最初にしなければならないことなのに行っている人が少ないというのが現状です。
金融機関でも、住宅会社でも、不動産会社でも教えてはくれません。
自分に合った住宅ローンを選ぶための方法をこれからご紹介していきますので、マイホームをこれから考える方はぜひお読みください。
住宅ローンの組み方について考えるための必須の準備
住宅ローンの組み方を考えるうえで、一番最初にしなけれならないのが、「今の家計の状態」と「将来の家計の状態」を知るということです。
本来、住宅ローンの額を決めるにしても「家計の状態」が分からなければ、決める根拠がありません。
例えば下の図のように、同じ500万円の年収の人であっても、年齢、家族構成、貯蓄、生活費、教育費、趣味に使いたいお金などはまったく違うはずです。
Aさん | Bさん | |
年齢 | 30歳 | 45歳 |
年収 | 500万円 | 500万円 |
貯蓄 | 500万円 | 1000万円 |
家族構成 | 妻:28歳
長男:3歳 将来もう一人欲しい |
妻:47歳
長女:19歳 長男:17歳 |
生活費 | 月々25万円 | 月々30万円 |
教育費 | 国内の大学まで行かせたい | 長女は海外留学希望 |
趣味 | 年1回の海外旅行 | 読書 |
AさんとBさんの家計では、将来必要となるお金の額も違うでしょう。
年収だけで住宅ローンの額を決めてしまうような方法は間違いです。
よくいわれる「月収の25%、30%までの返済額が目安」というのは銀行が貸してくれる額の目安であって、無理なく返済できる額の目安ではありません。
無理なく返済できる額を決めるには、現在から将来までの収入と支出を一覧にした「キャッシュフロー表」を作成してシュミレーションを行います。
キャッッシュフロー表を作れば、いくらまでの住宅ローンなら無理なく返済できるのか分かります。
住宅ローンの金利タイプを選ぶ
金利タイプの選択は大まかに分けて、
- 固定金利(全期間)
- 固定金利(期間選択)
- 変動金利
の3種類からの選択になります。
固定金利(全期間)
固定金利(全期間)の代表はフラット35です。
銀行、信用金庫、フラット専門金融機関などを窓口として申し込みができます。
融資額が住宅購入価格(土地も含む)の9割以下なのか9割以上なのかで、金利が異なります。
融資額を9割以下に抑えたほうが、金利は低くなりますので有利です。
【フラット35】 借入期間:21年以上35年以下
住宅購入価格のうち融資額 | 最も多い金利(金融機関によって異なる) |
9割以下 | 年1.270% |
9割超 | 年1.710% |
※2019年3月現在
固定金利(期間選択)
3年固定、5年固定、10年固定など一定期間のみ固定金利で、その後は変動金利になるのが一般的です。
一定の固定期間終了後、その時に再び固定期間を選ぶことができる商品もあります。
個人的に固定金利(期間選択)は将来計画を立てるうえではやや難があると思っています。
当初の固定期間の返済額は低く抑えられますから、「これなら返済していけるな」と思っても、固定期間が終了した時に、金利が上がって返済が苦しくなるということもありえるからです。
金利が上がっても家計が耐えられるのか、事前にシュミレーションが必要です。
変動金利
変動金利は半年ごとに金利が見直される住宅ローンです。
ほとんどの金融機関において、金利タイプの中では金利が一番低く設定されています。
繰り上げ返済ができる余裕のある家計であれば、金利の上昇にも耐えられるので選択肢の一つとして考えられます。
金利が上がっても家計が耐えられるのかのシュミレーションは必須です。
借入年数を選ぶ
借入年数については「長く借りて、短く返す」が鉄則です。
出来るだけ長い期間で借りて、余裕があるときに繰り上げ返済をして、結果的に当初の計画より早く返済が終わるのが理想的です。
短い期間で借りてしまうと、後から延長することも不可能ではないですが、金融機関との相談となります。
誰が住宅ローンを組むのか
夫婦で共働きなどの場合は、誰が住宅ローンを組むのか迷う場合もありますよね。
大事なのは「夫婦2人がずっと仕事を続けるか考えて決める」ということです。
夫婦2人分の収入を見込んで、2人で住宅ローンを組んだけど、1人が仕事を辞めて収入が1人分になってしまうと、途端に返済は苦しくなります。
特に子供が小さいうちは子育てに手がかかるため、数年間は夫婦のどちらかが育児休業を取る可能性もあります。
育児休業を取っている期間は、収入の何割かはダウンすることも計算に入れておかなければなりません。
将来、夫婦のどちらかが仕事を辞める可能性がある場合は、1人分の収入で住宅ローンを組むという選択も必要です。
金融機関を選ぶ
同じような住宅ローンの商品でも、諸費用は金融機関によって異なることが多いです。
一見、金利は低くても、諸費用が高かったりすると低金利のメリットが無くなってしまいます。
諸費用も含めて考えた実質金利で比較、検討することが最も有利な住宅ローンをえらぶポイントです。
保険などの付帯サービスも金融機関によって異なりますので、比較材料となります。
まとめ
生活を考えて住宅ローンを組む方法について見てきました。
繰り返しになりますが、最も重要で、最初にしなければいけないことは、「今の家計の状態」と「将来の家計の状態」を知るということです。
家計の状態が分かった後に、住宅ローン選びをじっくりと行えば自分の家計に合った住宅ローンが自然と分かってくるはずです。
投稿者プロフィール

- 住宅不動産コンサルタント/1級ファイナンシャルプランニング技能士/宅地建物取引士
-
株式会社ライフオブライフ代表。
住宅相談を専門とする住宅不動産業界歴19年のファイナンシャルプランナー。買う方の立場に立った「住宅コンサルティング」「将来家計のサポート」を行う
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住宅ローン安心診断
住宅ローンを組んでも家計は大丈夫なのか不安な時・・
・どのぐらいの金額の住宅ローンなら組んでも大丈夫?
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・自己資金はどのくらい用意するべき?
無理のない住宅ローンはいくらなのか分かると同時に家計の見直しもできます。