「新築より中古のほうがお得」の時代が静かにやってきた!?

「新築より中古のほうがお得」の時代が静かにやってきた!?

「家を買うなら、やっぱり新築でしょ」

そう思っている方、実は今、その常識が大きく揺らいでいます。2026年という年は、日本の住宅市場にとって静かな、でも確実な転換点になりつつあるのです。

850万戸の「空き家」という現実

まず、ちょっと驚く数字から話しましょう。いま日本では、全住宅数の13.6%が空き家。全国で849万戸にのぼります。

なぜこんなに増えているのか。背景にあるのが「大相続時代」の到来です。1947〜1949年生まれのいわゆる団塊世代が全員75歳以上の後期高齢者になったことで、家という大きな資産が次の世代へ相続されるタイミングが一気に増えています。

簡単にいうと、親世代が介護施設に入ったり、亡くなったりすることで「誰も住まなくなった実家」がどんどん市場に出てくる、という状況です。30〜40代の読者の方も、「そういえば地方の実家、どうしよう」と考え始めている方が多いのではないでしょうか。

「暴落するぞ」は本当か?

「空き家が増えるなら、不動産価格が暴落するんじゃ?」という声もよく聞きます。結論からいうと、「2025年を境に突然価格が暴落する」わけではなく、「相続増加をきっかけに、不動産の過剰供給と需要減がじわじわと地価や市場に影響を与える」というのが正確な見方です。

特に注意すべきは「どこに買うか」です。都市部では富裕層や国内外の投資家などの需要が旺盛で、不動産価格の上昇傾向が続く一方、都心から離れた地域ほど二極化が鮮明になっています。つまり「場所によって全然違う」というのが正直なところ。地方の実家を相続した方が「売ろうとしたら値がつかなかった」という話は、すでに各地で起きています。

2026年、国が「中古住宅」に本気を出した

そんな中、今年(2026年)から住宅の税制が大きく変わりました。これが、マイホームを検討している方にとって見逃せないポイントです。

ひと言でいうと、「新築だけが得」という時代が終わったのです。

これまで住宅ローン減税(毎年のローン残高の0.7%が所得税から戻ってくる制度)は、新築の方が断然有利な仕組みになっていました。ところが2026年の税制改正で、中古住宅の控除期間が原則13年間に延長され、対象床面積も40平米以上に緩和されました。高性能な物件では借入限度額も引き上げられ、新築との格差がほぼ解消されます。

さらに、住宅価格の高騰やライフスタイルの変化などを受けて、政府は「良質な中古住宅をリノベーションして長く使う」という循環型社会へのシフトを本格的に推進し始めています。

「性能の高い中古」を狙え

ただし、どんな中古住宅でも同じように優遇されるわけではありません。ポイントは「省エネ性能」です。

断熱性能や省エネ設備が一定の基準(ZEH水準など)を満たした中古住宅をリノベーションして購入すると、住宅ローン減税の恩恵が最大限に受けられます。中古住宅であっても、リノベーションによってZEH水準まで性能を引き上げ、子育て世帯等が取得する場合、借入限度額は最大4,500万円まで拡充されます。ZEH(ゼッチ)とは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略で、太陽光発電などで消費エネルギーをほぼゼロにする高性能な家のことです。

「古い家をリノベーションして断熱・省エネ改修をすると費用がかかる」と感じる方もいるでしょう。でも、省エネ基準以上の中古物件を選べば、控除額・補助金・金利優遇のメリットが工事費アップ分を上回るケースがあるのが今の状況です。

「中古+リノベ」は損か得か

では実際、新築と中古リノベのどちらがお得なのか。

新築の魅力はもちろん「すぐ住める」「保証が手厚い」こと。一方、中古リノベの魅力は「立地の選択肢が広い」「価格が抑えられる」「自分好みに設計できる」こと。そして今年からは「税制上の優遇も新築並み」という追い風が加わりました。

「マイホームといえば新築」から「マイホームといえば中古」が一般的になり、インスペクション(建物診断)や既存住宅売買瑕疵保険などの制度やリノベーションも普及していくと専門家も予測しています。インスペクションとは、建物の状態を専門家に事前に診てもらうこと。中古を安心して買うための大事なステップです。

今、家を探している人へ

相続増加で市場に出てくる中古物件は今後も増えていきます。そして国の制度は「性能の高い中古住宅」を後押しする方向に、はっきりと舵を切りました。

「新築でないと不安」という気持ちはよくわかります。でも、しっかりとした建物診断を受け、省エネ改修を施した中古住宅は、新築に負けない快適さと資産価値を持てる時代になってきました。

家選びの選択肢に「中古+リノベ」を加えてみる。それが、2026年の住宅購入で賢く動くための、最初の一歩かもしれません。


※住宅ローン減税の適用条件は物件や世帯の状況によって異なります。詳細は専門家や税務署にご確認ください。

鬼頭 良行のプロフィール写真

株式会社ライフオブライフ代表 住宅相談を専門とする住宅不動産業界歴26年のファイナンシャルプランナー。買う人、売る人の立場に立った「住宅不動産コンサルティング」「将来家計のサポート」を行う