日銀、3か月で再び利上げ。変動金利の返済額は「いつ」「いくら」変わる?

日銀、3か月で再び利上げ。変動金利の返済額は「いつ」「いくら」変わる?

8月のコラムでは、6月の利上げで政策金利が1.0%になったことと、「次は12月にもう一段の利上げがあるのでは」という見方をご紹介しました。ところが、その予想より早く動きがありました。9月18日、日銀は政策金利を1.0%から1.25%へ引き上げたのです。前回の6月からわずか3か月で、植田総裁が就任してから最短の間隔です。総裁は「局面が変化した」と説明し、今後も利上げを続ける姿勢を示しました。

今回は前回の「変動か固定か」のお話の続編として、実際に私たちの返済額がいつ・いくら変わりそうかを、数字で見ていきます。

銀行の対応は「横並び」ではありませんでした

10月の住宅ローン金利を調べた集計(主要14行)では、変動金利を引き上げた銀行が4行、据え置いた銀行が10行でした。たとえば、りそな銀行は0.30ポイント、みずほ銀行は0.25ポイント引き上げて1.2%台になりました。一方、イオン銀行(1.120%)や三菱UFJ銀行(1.195%)は据え置きです。いずれも新規借入の金利です。

前回お話しした「基準金利」の見直しは、銀行ごとの判断で決まります。同じ日銀の利上げでも、借りている銀行によって上がるタイミングも幅も違います。借り換えを考えるときは、金利だけでなく手数料も含めて比べましょう。

返済額が増えるのは、早くても来年1月ごろ

多くの銀行が10月に基準金利を引き上げましたが、実際の返済額に反映されるのは、2027年1月ごろからというケースが目立ちます。金利を見直す頻度(毎月型・年2回型など)によっても時期は違います。ご自身の契約は、返済のたびに届く「ご返済のお知らせ」で確認してみてください。

また、前回ご紹介した「5年ルール」があるので、元利均等返済なら、5年間は毎月の返済額そのものが変わらない場合が多いです。ニュースを見た翌月に急に返済が増えるわけではありません。ただし、裏側では利息の割合が増えて元金の減りが遅くなっている点は、前回お伝えしたとおりです。

前回の例で、5年後の返済額を試算してみました

前回の例(3,500万円・35年・金利1.08%、月々約10万円)で考えてみます。5年後の残高は約3,080万円です。この時点で金利が上がっていたら、見直し後の返済額は次のようになります。

  • 今回の利上げ分(+0.25ポイント)だけ上がった場合: 月約10.4万円(月+約3,600円、年+約4.3万円)
  • +0.75ポイント上がった場合: 月約11.1万円(月+約1.1万円、年+約13万円)
  • +1.25ポイント上がった場合: 月約11.9万円(月+約1.9万円、年+約23万円)

いずれも「125%ルール」の上限(約12.5万円)には収まります。ただし、5年のあいだに金利が上がると元金の減りが遅れ、残高が増えます。そのため、実際の増加額は上の数字より少し大きくなる可能性があります。

固定金利はさらに上昇。差が広がっています

8月の時点で3.2〜3.3%ほどだったフラット35は、10月には3.83%まで上がりました。変動金利(新規借入の上位行で1.1〜1.3%台)との差は、前回よりさらに開いた形です。民間シンクタンクの中には、日銀が12月に1.5%、2027年1〜3月期に1.75%まで利上げするという見通しもあります。

固定がこれだけ高いと、「やはり変動で」と考える方が多いのは自然なことです。だからこそ、金利が上がっても払い続けられる状態を、先につくっておくことが大切になります。

前回の「差額」、使い道の順番を決めましょう

前回、変動と固定の返済額の差額を、貯蓄や積立投資に回す方法をご紹介しました。その続きとして、考え方の一例をお伝えします。

  1. まず、生活費の数か月分にあたる「生活防衛資金」を確保します。
  2. 次に、先ほどの試算のような「金利上昇ぶんの上乗せ」(月1〜2万円程度)を、別枠でとっておきます。
  3. それでも余ったお金を、新NISAなどの積立や、繰上返済(余ったお金で元金を前倒しで返すこと)に振り分けます。

この順番にするのは、金利の上昇が一度きりではなく、段階的に続く可能性があるからです。先に「予備」をつくっておけば、投資で一時的に資産が減ったときにも、返済が苦しくなりません。

まとめ

政策金利は1.25%まで来ましたが、返済額への影響は、時間差でじわじわ表れます。慌てる必要はありませんが、「いつ、いくら」を知っておくだけで、備えはぐっと具体的になります。ご自身のローンで試算してみたい方は、お気軽にご相談ください。

鬼頭 良行のプロフィール写真

株式会社ライフオブライフ代表 住宅相談を専門とする住宅不動産業界歴26年のファイナンシャルプランナー。買う人、売る人の立場に立った「住宅不動産コンサルティング」「将来家計のサポート」を行う