8月のコラムでは、6月の利上げで政策金利が1.0%になったことと、「次は12月にもう一段の利上げがあるのでは」という見方をご紹介しました。ところが、その予想より早く動きがありました。9月18日、日銀は政策金利を1.0%から1.25%へ引き上げたのです。前回の6月からわずか3か月で、植田総裁が就任してから最短の間隔です。総裁は「局面が変化した」と説明し、今後も利上げを続ける姿勢を示しました。

今回は前回の「変動か固定か」のお話の続編として、実際に私たちの返済額がいつ・いくら変わりそうかを、数字で見ていきます。

銀行の対応は「横並び」ではありませんでした

10月の住宅ローン金利を調べた集計(主要14行)では、変動金利を引き上げた銀行が4行、据え置いた銀行が10行でした。たとえば、りそな銀行は0.30ポイント、みずほ銀行は0.25ポイント引き上げて1.2%台になりました。一方、イオン銀行(1.120%)や三菱UFJ銀行(1.195%)は据え置きです。いずれも新規借入の金利です。

前回お話しした「基準金利」の見直しは、銀行ごとの判断で決まります。同じ日銀の利上げでも、借りている銀行によって上がるタイミングも幅も違います。借り換えを考えるときは、金利だけでなく手数料も含めて比べましょう。

返済額が増えるのは、早くても来年1月ごろ

多くの銀行が10月に基準金利を引き上げましたが、実際の返済額に反映されるのは、2027年1月ごろからというケースが目立ちます。金利を見直す頻度(毎月型・年2回型など)によっても時期は違います。ご自身の契約は、返済のたびに届く「ご返済のお知らせ」で確認してみてください。

また、前回ご紹介した「5年ルール」があるので、元利均等返済なら、5年間は毎月の返済額そのものが変わらない場合が多いです。ニュースを見た翌月に急に返済が増えるわけではありません。ただし、裏側では利息の割合が増えて元金の減りが遅くなっている点は、前回お伝えしたとおりです。

前回の例で、5年後の返済額を試算してみました

前回の例(3,500万円・35年・金利1.08%、月々約10万円)で考えてみます。5年後の残高は約3,080万円です。この時点で金利が上がっていたら、見直し後の返済額は次のようになります。

いずれも「125%ルール」の上限(約12.5万円)には収まります。ただし、5年のあいだに金利が上がると元金の減りが遅れ、残高が増えます。そのため、実際の増加額は上の数字より少し大きくなる可能性があります。

固定金利はさらに上昇。差が広がっています

8月の時点で3.2〜3.3%ほどだったフラット35は、10月には3.83%まで上がりました。変動金利(新規借入の上位行で1.1〜1.3%台)との差は、前回よりさらに開いた形です。民間シンクタンクの中には、日銀が12月に1.5%、2027年1〜3月期に1.75%まで利上げするという見通しもあります。

固定がこれだけ高いと、「やはり変動で」と考える方が多いのは自然なことです。だからこそ、金利が上がっても払い続けられる状態を、先につくっておくことが大切になります。

前回の「差額」、使い道の順番を決めましょう

前回、変動と固定の返済額の差額を、貯蓄や積立投資に回す方法をご紹介しました。その続きとして、考え方の一例をお伝えします。

  1. まず、生活費の数か月分にあたる「生活防衛資金」を確保します。
  2. 次に、先ほどの試算のような「金利上昇ぶんの上乗せ」(月1〜2万円程度)を、別枠でとっておきます。
  3. それでも余ったお金を、新NISAなどの積立や、繰上返済(余ったお金で元金を前倒しで返すこと)に振り分けます。

この順番にするのは、金利の上昇が一度きりではなく、段階的に続く可能性があるからです。先に「予備」をつくっておけば、投資で一時的に資産が減ったときにも、返済が苦しくなりません。

まとめ

政策金利は1.25%まで来ましたが、返済額への影響は、時間差でじわじわ表れます。慌てる必要はありませんが、「いつ、いくら」を知っておくだけで、備えはぐっと具体的になります。ご自身のローンで試算してみたい方は、お気軽にご相談ください。

「毎月の返済額を抑えたいから、できるだけ長い住宅ローンを組みたい」——マイホームを考えている方なら、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。実は今、この「超長期住宅ローン」に金融庁が本格的にメスを入れようとしています。今回は、このニュースをわかりやすく解説しながら、住宅ローンを組む際に押さえておきたいポイントをお伝えします。

何が起きているの?

金融庁が、返済期間が40年や50年といった「超長期」の住宅ローンを扱う銀行に対して、審査体制の監視を強化する方針を固めました。対象は大手銀行、地方銀行、そしてインターネット銀行です。早ければ今年の秋にも、実際にどのような審査をしているのか実態調査に乗り出す見通しです。

「金融庁」とは、銀行や保険会社、証券会社といった金融機関を監督する国の行政機関のこと。私たちが銀行にお金を預けたり借りたりする際の「安全網」を管理している存在だとイメージすると分かりやすいでしょう。その金融庁が動くということは、それだけ超長期ローンに対するリスクへの懸念が高まっているということです。

なぜ今、超長期ローンが問題視されているのか

背景にあるのは、日銀による利上げや長期金利の上昇です。ここ最近、ニュースでも「金利が上がっている」という話を耳にする機会が増えたと思いますが、これは住宅ローンにも直結する話です。

超長期ローンの最大のメリットは、返済期間を延ばすことで毎月の返済額を低く抑えられる点にあります。たとえば同じ借入額でも、35年ローンより50年ローンの方が、月々の負担は軽くなります。だからこそ、収入がそれほど高くない方でも「これなら無理なく買えそうだ」と感じやすいローンなのです。

しかし、ここに落とし穴があります。返済期間が長くなればなるほど、支払う利息の総額は増えていきます。つまり、月々の負担は軽く見えても、トータルで支払う金額は膨らみやすいのです。さらに今後、金利がじわじわと上がっていけば、変動金利型のローンを組んでいる方は利息負担がさらに重くなる可能性があります。

金融庁が懸念しているのは、銀行が「返済能力を超えて」お金を貸してしまっているのではないか、という点です。毎月の返済額だけを見て「これなら払えそうだ」と判断してしまうと、将来の金利上昇や収入減少、資産価値の低下といったリスクを十分に織り込めていないケースが出てくる恐れがあります。

銀行の審査は何をチェックしているの?

住宅ローンの審査では、多くの銀行が「返済負担率」という指標を使っています。これは、年収に占める年間の返済額の割合のことです。たとえば年収500万円の方が年間150万円を返済に充てている場合、返済負担率は30%となります。この数値が一定の水準を超えないかどうかを、銀行は審査時にチェックしています。

ただし超長期ローンの場合、月々の返済額が小さく見えるため、この返済負担率だけで判断すると、実際の返済能力以上に借り入れができてしまう可能性があるのです。今回、金融庁が問題視しているのはまさにこの点です。

ネット銀行特有の懸念も

もう一つ注目したいのが、インターネット銀行に関する指摘です。店舗を持たないネット銀行では、スマートフォンひとつでローンの申し込みが完結してしまうケースが多くあります。便利な反面、「金利が上昇したらどうなるか」「収入が減ったら返済は大丈夫か」といったリスクについて、利用者がどこまで理解した上で契約しているのか、疑問視する声も上がっています。対面での説明を受ける機会が少ない分、契約者自身がリスクをしっかり把握しておく必要性が高まっていると言えるでしょう。

これから住宅ローンを組む方へ

超長期ローンそのものが「悪いもの」というわけではありません。ライフプランによっては、月々の負担を抑えて無理なく返済していく選択肢として有効な場合もあります。大切なのは、目先の返済額の低さだけで判断せず、次のような視点を持つことです。

住宅ローンは数十年にわたる長い付き合いになります。「借りられる額」と「無理なく返せる額」は必ずしも一致しません。今回の金融庁の動きは、私たち利用者にとっても、自分のローンを見直すよいきっかけになるはずです。不安な点があれば、契約前に第三者の専門家に相談してみることをおすすめします。

「35年ローンでも長いと感じていたのに、50年ローンって……大丈夫なの?」

そんなふうに思った方、多いのではないでしょうか。実は今、住宅ローンを取り巻く常識が、静かに、でも確実に変わりつつあります。2026年、住宅価格の高止まりと金利上昇が重なるなか、30〜40代の共働き子育て世帯にとって「50年ローン」は他人事ではなくなってきました。

今回は、50年ローンのリアルをわかりやすく整理しながら、「怖い」のか「使える」のか、一緒に考えてみましょう。

なぜ今、50年ローンが広がっているのか

まず現状を確認しましょう。調査によると、2026年に新規登録した40歳以下のユーザーのうち、実に約4割が「35年を超えるローン」を希望しているともいいます。数年前には考えられなかった数字です。

背景にあるのは、住宅価格の高騰です。東京23区の新築マンションの平均価格は1億円を超え、地方都市でも物件価格の上昇が続いています。共働きで夫婦それぞれがローンを組む「ペアローン」を使っても、月々の返済額が家計を圧迫するケースが増えてきました。

そこで金融機関が打ち出してきたのが、50年まで借りられる長期ローンです。返済期間を伸ばすことで、毎月の支払い額を抑えられる——そのシンプルな仕組みが、マイホームへの手が届かなくなりつつある30〜40代に響いています。

数字で見る「35年」vs「50年」:月々の差はどれくらい?

百聞は一見にしかず。具体的な数字で比べてみましょう。たとえば借入額5,000万円、金利1.0%(変動)、元利均等返済(毎月同じ金額を返していく方法)で試算すると:

●  35年ローン:月々の返済 約14.1万円

●  50年ローン:月々の返済 約10.6万円

月々の差は約3.5万円。年間にすると42万円。子どもの習い事費用、家族旅行、食費の余裕……共働き子育て世帯にとって、この差は決して小さくありません。

ただし、当然ながらデメリットもあります。返済期間が15年長くなる分、支払う利息の総額も増えます。同じ条件で試算すると、35年ローンと比べて利息負担は数百万円単位で膨らむことが一般的です。また、多くの金融機関では35年超の長期ローンには年0.1〜0.15%程度の金利上乗せがあり、その点も総返済額に影響します。

「ペアローン×50年」という新しい選択肢

最近増えているのが、夫婦でそれぞれローンを組む「ペアローン」と「50年ローン」を組み合わせるパターンです。

ペアローンのメリットは大きく2つ。まず、夫婦それぞれの収入をローン審査に使えるため、単独よりもはるかに大きな金額を借りられます。たとえば夫婦それぞれの年収が500万円なら、単独では4,000万円台の借入が上限の目安ですが、ペアローンなら合算で8,000万円超も視野に入ります。

さらにもう一つ、見落とせないのが税制上の優遇です。住宅ローン控除(年末のローン残高の0.7%を最長13年間、所得税・住民税から差し引いてもらえる制度)は、夫婦それぞれが受けられます。2026年の税制改正では子育て世帯への優遇もさらに手厚くなったため、二人で受けられる控除の合計額はかなりのものになります。

月々の返済を抑えながら、二人分の税メリットも享受できる。この組み合わせが、共働き子育て世帯を中心に支持を集めている理由です。

正直に言うと怖い部分もある

ここまで50年ローンのメリットを見てきましたが、当然リスクも正面から見ておく必要があります。

一つ目は、老後に返済が残る問題です。30歳で50年ローンを組めば、完済は80歳。年金生活に入ってからも返済が続くことになります。退職後に収入が激減した場合、毎月の返済が重くのしかかる可能性があります。

二つ目は、金利上昇リスクです。変動金利を選んだ場合、将来金利が上がれば返済額も増えます。2026年4月時点でも変動金利は15年ぶりに1%を超えており、さらなる利上げの可能性も専門家の間で議論されています。50年という長い期間、金利がどう動くかは誰にもわかりません。

三つ目は、ペアローン特有のリスク。夫婦どちらかが育休・転職・病気などで収入が落ちたとき、返済計画が大きく崩れる可能性があります。また、もし離婚となった場合、共有名義・二本のローンの処理は複雑です。

「怖い」と感じるのは、正しい感覚です。ただ、35年ローンでも同じリスクの多くは存在します。大切なのは、リスクの存在を認識した上で、自分たちのライフプランに合った判断をすることです。

50年ローンを味方にする3つの考え方

では、賢く使うにはどうすればいいか。専門家の間でよく言われる考え方を3つ紹介します。

① 「期間は長く、でも繰り上げ返済は積極的に」という戦略

50年ローンの最大の特徴は、「いつでも期間を短くできる」という柔軟性にあります。銀行側は返済期間の短縮を原則として断りません。子どもの教育費が一段落した、ボーナスが出た、退職金が入ったなど、余裕ができたときに繰り上げ返済を行えば、利息の負担も将来のリスクも大きく減らせます。長期ローンは「最長50年」ではなく「最大50年まで調整できるローン」と捉えるのがポイントです。

② 月々の余裕分を、きちんと貯蓄・運用に回す

35年ローンと比べて浮いた月3〜4万円を、子どもの教育費・老後資金・緊急時のための貯蓄へ確実に回す計画を立てましょう。余裕分を生活費にそのまま使ってしまうと、50年ローンの恩恵が半減します。

③ 金利上昇をシミュレーションしておく

変動金利で組む場合、金利が1%・2%・3%に上がったとき、月々の返済額がどう変わるかを事前に試算しておきましょう。「このくらいまでなら家計が耐えられる」という上限を夫婦で共有しておくことが、いざというときの安心につながります。

「普通」になることと「無計画」は違う

50年ローンは、もはや「特殊な選択」ではなく、不動産価格が高騰した時代に生きる私たちに与えられた一つの現実的な手段です。「長くて怖い」という印象だけで否定するのではなく、その仕組みとリスクを正しく理解した上で選ぶかどうか判断する——それが今の時代に住まいを考える姿勢ではないでしょうか。

一方で、「みんなが使っているから」「何とかなるだろう」という楽観的な見通しだけで超長期ローンを組むのは危険です。繰り上げ返済の計画、金利上昇への備え、万が一の収入減に対するシミュレーション——この3つをセットで考えてこそ、50年ローンは家族を守る道具になります。

マイホームは、人生最大の買い物です。でも、完璧な条件が揃うのを待ち続けて「いつか」が来ないまま時が過ぎていくのも、また別のリスク。今の自分たちにとってベストな選択を、数字と対話しながら探してみてください。

※本コラムの数値・金利情報は2026年4月時点のものです。実際のローン選択に際しては、金融機関やファイナンシャルプランナーへの相談をおすすめします。

30代前半〜40代前半・子育て世帯の住宅購入は慎重さがカギ

先回の記事では全世帯向けに金利上昇時代に住宅を買う場合の戦略についてご紹介しました。

今回は子育て世帯に絞った住宅購入戦略についてご紹介したいと思います。

30代前半から40代前半の子育て世帯のかたにとって今は、「そろそろ住宅購入を決断しないと」と感じやすいタイミングかもしれませんね。

子どもの成長、学区、住宅ローンの完済年齢などを考えると、時間的な余裕はあまりないなぁと感じている方も多いかもしれません。

一方で、今は金利が上昇局面にあります。世帯年収1,000万円の共働き世帯であっても、判断を誤ると教育費や老後資金を圧迫しかねません。

今回は、この世代・家族構成に絞って、家計のリスクを抑えた住宅購入の考え方を整理します。

「年収1,000万円=安心」ではない理由

共働きで世帯年収1,000万円あると、金融機関からは高額な住宅ローンを提案されやすくなります。

特に40代前半では「まだ返済期間を35年取れる」という理由で、6,000万円前後の借入が可能になることもあります。

しかし、これはあくまで“借りられる金額”です。子育て世帯にとって重要なのは、「教育費が増えても返し続けられるか」という視点です。

教育費が本格化する前に考える返済計画

30代前半〜40代前半で住宅を購入する場合、数年後には教育費の負担が一気に増えていきます。習い事、塾、中学・高校・大学と、支出は段階的に重くなります。

この時期に住宅ローンの返済額が高すぎると、「家はあるけど、教育にお金をかけられない」という状態になりかねません。

そのため、住宅ローンの返済額は、教育費が増えても耐えられる水準に抑えることが重要です。

返済額の目安は「手取りの20〜25%」を安易に信じない

一般的な目安になるのが、手取り収入に対する住宅ローン返済額の割合です。

「手取り月収の20〜25%以内に収めることで、教育費や貯蓄とのバランスが取りやすくなります。」というのはネットなどの情報でもよく目にします。

ここで注意したいのが、「今の共働き収入」と「支出」だけを前提にしすぎないことです。

共働きでも収入が減る可能性は高い

子どもの成長に伴い、どちらかが時短勤務を選んだり、働き方を変えたりするケースは少なくありません。また、親の介護や自身の健康問題が出てくるのも、この年代です。

そのため、「どちらか一方の収入が減っても回るか」を基準に返済額を決めておくと、家計は格段に安定します。

“年収”だけで判断しない

手取り収入に対する住宅ローン返済額の割合だけで決めてしまうのは危険です。

収入は同じだとしても、家計によって支出はまったく違う場合もあります。

同じ世帯年収1,000万だとしても同じ額のお金を毎月使うわけではないですよね。

ですので、個別の家計の支出額で判断する必要があります。

わが家の支出をしっかり書き出して、将来どのくらいの支出がありそうなのかを見極める必要があります。

金利タイプの選択は“リスク”も考える

金利が上昇している局面では、低金利だけを理由に変動金利を選ぶのはリスクがあります。

返済期間が長く、教育費のピークと重なる年代だからこそ、将来の金利上昇は家計に直撃します。

変動金利を選ぶのも決して間違いではありませんが、金利が上がっても耐えられる家計なのかを確かめておくことが重要です。

全額固定にするのが不安な場合は、固定金利と変動金利を組み合わせる方法もあります。「最低限この金額なら安心して払える部分」を固定にするイメージです。

住宅費は“住んでから”も続く

住宅購入では物件価格に目が行きがちですが、住み始めてからも支出は続きます。マンションであれば管理費や修繕積立金、戸建てであれば将来の修繕費用です。

特に子育て世帯では、これらの固定費が教育費と重なる点を意識しておく必要があります。

頭金と貯蓄のバランスを崩さない

頭金を多く入れることで借入額を抑えるのは有効ですが、貯蓄を削りすぎるのは危険です。

貯蓄をうまく資産運用できるのであれば、あえて頭金を多く入れすぎない選択もありだと考えます。

ただし、しっかりと自分で資産運用する準備ができていることが大前提です。

それでも教育費や急な出費に備え、最低でも生活費の1年分程度は手元に残しておきたいところです。

まとめ:子どもと将来を守る住宅購入を

30代前半〜40代前半の子育て世帯にとって、住宅購入は家計を左右する大きな決断です。金利上昇の時代だからこそ、「今払えるか」ではなく、「教育費と両立できるか」「将来も無理なく続けられるか」を軸に考えることが重要です。

家を買うこと自体が目的にならないよう、家族の安心と選択肢を守る住宅購入を心がけていきましょう。

子育て世帯で世帯年収が1,000万円を超えていると、住宅ローンの審査も通りやすく物件の選択肢も広がるため、「家を買う」という選択肢が一気に現実味を帯びてきます。

しかし、収入が高いからといって住宅購入においてすべてが順風満帆とは限りません。

むしろ、収入があるからこそ陥りやすい「落とし穴」も存在します。

今回は、そんなご家庭が家を購入する際に絶対に避けるべき5つのポイントをご紹介します。

「貸してくれる金額」で家を選ぶこと

金融機関が貸してくれる金額=自分が返せる金額ではありません。

年収1,000万円あれば、1億円近いローンが組めてしまう場合もありますが、それが家計にとって本当に無理のない金額かは別問題です。

家計の支出額がいくらなのか?将来にどのくらいの支出がありそうなのか?というポイントは住宅ローンの審査基準にはならないからです。

特に子育て世帯は、教育費や習い事、将来的な進学費用など、今後の支出が年々増えていく傾向にあります。

「今払える」ではなく、「将来にわたって無理なく払える」を基準に予算を決めることが大切です。

ライフプランを考えずに勢いで購入すること

「金利が低いうちに」「周りの友達が家を買ったから」といった理由で焦って家を買うのは危険です。

住宅購入は人生で最も大きな買い物の一つであり、住宅ローンは30〜35年にも及びます。

転勤の可能性や子どもの進学、将来の介護や自分たちの老後など、長期的なライフプランと照らし合わせて判断することが必要です。

将来は分からないからライフプランは作れない・・という場合は仮の予定でも大丈夫です。

ライフプランは予定が変われば変更もできますので、まず分かる予定の範囲で作ってみることが重要です。

教育・老後資金を圧迫する住宅ローンを組むこと

子どもが小さいうちは出費も少なく、「思ったより余裕がある」と感じがちですが、中学・高校・大学と進学するにつれて教育費は大きく増加します。

さらに、私立や留学を希望された場合には想定以上の費用がかかる可能性も。

また、家を買った後も老後資金を蓄える必要があります。

住宅ローンに家計を圧迫されて、教育や老後にしわ寄せが来るの避けたいところです。

まとまった額の退職金がもらえるのであればリスクは少ないかもしれませんが、そうでない場合は長期的な老後資金計画が必用です。

立地や周辺環境を軽視すること

「内装がきれい」「広い家に住みたい」といった理由で、駅から遠い・周辺に生活利便施設が少ない場所を選んでしまうと、住んでからの不便さに後悔する可能性があります。

特に子育て世帯の場合、保育園・学校・病院・公園などの存在が生活の質を大きく左右します。

また、将来的に売却や賃貸に出す可能性を考えたときも、立地の良さは資産価値に大きく影響します。

将来の修繕・維持費を見落とすこと

一戸建てでもマンションでも、購入後には維持費がかかります。

マンションなら管理費や修繕積立金、一戸建てでも外壁や屋根、水回りの修繕費用が数十年単位で発生します。

これらを見越して毎月きちんと積み立てる余裕があるかを事前に確認しておかないと、将来的に負担が重くのしかかってきます。

まとめ

年収1,000万円を超えていても、子育て世帯が住宅を購入する際には「収入に見合った堅実な判断」が求められます。

「買えるから買う」のではなく、「家族にとって本当に価値のある選択か」を基準にしましょう。

将来の生活やお金の流れをしっかり見据えて判断すれば、マイホームは安心と満足をもたらしてくれる大きな資産になります。

夫婦2人でペアローンを借りた場合、団体信用生命保険(以下、団信)も2人で別々に加入することになります。

ここで、みなさんがよく疑問に思われることがります。

ペアローンで万が一夫婦どちらかが亡くなったら、保険で2人の住宅ローンの残高はゼロになるの?

結論からいうと、一般的な団信ではペアローンの残高はゼロになりません。

亡くなった方の借入れ分だけがゼロになります。

下記のようなペアローンの事例でみてみましょう。

世帯主の借入分:3,000万円

配偶者の借入分:2,000万円

5年後に世帯主が亡くなったとします。

この場合は、世帯主の借りた3,000万円のローン残高だけがゼロになります。

配偶者が借りた2,000万円の住宅ローンの残高は残ります。

夫が亡くなっても私の借りた住宅ローンは残るんだ・・

配偶者は自分で借りた分の住宅ローンの返済は続けていくことになります。

まさにペアローンの弱点、注意点はこの「夫婦のどちらかが亡くなった場合、どちらかの住宅ローン残高は残る」ことでした。

最近はこの弱点を補うために、新しい「ペアローン団信」という選択肢が生まれています。

ペアローン団信という選択肢

先ほどの事例で、一般的な団信だと世帯主が亡くなって3,000万円のローン残高が消えても、配偶者の2,000万円のローン残高は残りました。

ペアローン団信であれば、世帯主が亡くなると2人で借りた5,000万円の残高がゼロになります。

もちろん配偶者が亡くなった場合もローン残高はゼロです。

2人の住宅ローン残高がゼロになるなら安心ね

ただし、ペアローン団信を選ぶと単独の団信より金利が0.2%ぐらい上がることだけは注意です。

ペアローン団信は「がんと診断されたら」「余命診断されたら」のような条件でもローン残高がゼロになる商品も出てきています。

ペアローン団信の保障内容などは各金融機関ごとで異なります。

続々と新しい商品が出てきていますので、各金融機関の特徴をよく調べてご自分に合うものを選ぶことが必要となっています。

場合によってはペアローン団信のかわりに、民間の生命保険に加入するほうが保険料を安くできますので、詳しくは専門家にご相談ください。

家を買おうとするときは、新しい生活を思い描いて希望にあふれている時期かと思います。

そんなときに売る時のことも考えている人はほとんどいないでしょう。

数年後に転勤が決まっているが今どうしても家を買いたい。という人は売る時のことも考えているかもしれませんが少数派です。

今日は新しく家を買おうとするときに、同時に売る時のことも考えたほうがいいですよ。という話です。

家を買う時は「家計のバランスシート」で考える

バランスシートという言葉は会社の会計などで使われるもので、貸借対照表ともいわれます。

バランスシートは一般的に会社の財務状況を表していて、これを見れば会社のお金の状況がよく分かります。

このバランスシートは家計にも使えます。

家計をひとつの会社と考えて資産の状況を表してみると、色々なことが見えてきます。

例えば、Aさんが住宅を買う前と買った後のバランスシートを比較してみます。

Aさんは1,000万円の貯金がありましたが、後々の生活のことを考えて貯金を使わずにフルローン5,000万円で家を買いました。

資産/負債住宅購入前 住宅購入後
資産(預貯金、不動産)1,000万円5,000万円
 負債(住宅ローン)0-5,000万円
純資産1,000万円 0

住宅購入後の資産の内訳は

預貯金1,000万円+不動産4,000万円=5,000万円 となりました。

ん?ちょっとまって5,000万円借りて5,000万円の家を買ったのだから・・

預貯金1,000万円+不動産5,000万円=6,000万円 でしょ!と思う人も少なくないでしょう。

実は・・消えた1,000万円は不動産価値の値下がり分なのです。

5,000万円で買ったはずの家がなぜ4,000万円になるの?と思われる方も少なくないでしょう。

でもこれが現実になる場合もあるのです。

フルローン5,000万円で買った家の価値は5,000万円にはならないと思ったほうが良いです。

5,000万円には住宅ローンの諸費用や登記費用などの諸経費も含まれますので、その分は価値から差し引かれます。

さらに、一般的に新築の家は買って住んだ瞬間に2割価値が下がるともいわれます。

(※希少価値の高いエリアの物件などは価値が下がらないこともあります。)

フルローン5,000万円で買った家を売ろうと思ったら4,000万円でしか売れない・・ということも現実にあるのです。

このように家を売っても1,000万円の住宅ローンが残ってしまうことにならないように、売る時の価値も考えたほうが良いのです。

特にフルローンで買う場合は、このバランスシートの考えを取り入れてみてください。

純資産が大きくマイナスになる場合は、予算や物件選びをじっくり考えなおしたほうが良いかもしれません。

年の瀬となりましたがみなさん良い年末をお過ごしでしょうか。

2週間ほど前に2024年度の税制改正大綱が発表されましたので、住宅購入に関係する重要なポイントだけ解説したいと思います。

来年から住宅購入したいなと思っている方に参考にしていただければと思います。

住宅ローン控除の改正(子育て世帯の控除拡充)

子育て世帯の控除拡充

まず、子育て世帯の対象は?というところからですね。

今回の対象は「夫婦のいずれかが40歳未満または19歳未満の扶養家族がいる」が条件となります。

この条件に当てはまる人だけ、控除になる借入限度額が上乗せされます。

床面積要件の緩和措置

2つめの改正ポイントは、床面積要件を40㎡以上とする緩和措置についての変更です。

2023年までとされていましたが1年延長され、2024(令和6)年12月31日以前に建築確認済みの新築住宅が対象とされます。

国土交通省資料より

2025年以降も子育て世帯の控除になる借入限度額の上乗せが続くかは未定です。

2025年以降に住宅購入を考えている人は2025年以降の税制改正も要チェックです。

住宅取得資金贈与の非課税措置の延長

父母や祖父母などから、住宅の新築・取得又は増改築等のための資金を贈与により受けた場合に、一定額までの贈与につき贈与税が非課税になる制度です。

適用期限の延長

2023年12月31日までとされていた期限が、3年延長されて2026年12月31までとなりました。

省エネ等住宅の条件見直し

省エネ等住宅の場合に非課税で贈与できる金額:1000万円

その他の住宅:500万円

上記のように住宅の性能によって非課税で贈与できる金額が変わる制度なのですが、「省エネ等住宅」の家屋の条件が見直しされました。

改正前:断熱等性能等級4以上 又は 一次エネルギー消費量等級4以上であること

改正後:断熱等性能等級5以上 かつ 一次エネルギー消費量等級6以上であること

つまり、断熱性能、エネルギー消費性能ともに省エネ住宅の条件がより厳しくなったということです。

今後、より環境に配慮した高性能な住宅を増やしていきたい国としての方針が見えてきます。

2024年税制改正大綱のポイントまとめ

これから住宅購入を検討する人にとって影響が大きいポイントのみ絞って解説しました。

国の方針として、子育て世帯への支援は住宅購入の場面でこれからも続いていくものと予想します。

自分が使える制度なのであれば積極的に使っていくことで住宅購入時に小さくない金額の差が生まれます。

最新の情報にアンテナを立てて使える制度なのか見極めていきましょう。

それでは良い新年をお迎えください。

先日ニュース番組をみていると「東京の新築マンション価格が上昇」という話題が取り上げられていました。

東京の新築マンションの価格が上昇しすぎて、今まで買うことができていた年収層も手を出しにくくなっているようです。

夫婦2人で年収2千万円ぐらいあるような、いわゆるパワーカップルも例外ではありません。

1億ぐらいの物件なら余裕をもって買えていたパワーカップルも、それがマンション価格上昇で2億、3億となってくるとさすがに買えない・・となるわけです。

そのニュースで登場していた銀行の融資担当者はこのような話をしていました。

「年収の10倍ぐらいの住宅ローンは組めるので、理論的には買えます。」

確かに、年収2,000万円の夫婦が年収10倍の2億円の住宅ローンを借りれば2億円以上の新築マンションも手が届きます。

たしかに買えるのですが・・なんか異常な事態なのではとその時は思いました。

年収10倍の住宅ローン借りれた!物件買えた!うれしい!となりますか?

個人的には全然うれしくないです。

ここまでの話で出てきたのは値上がりした物件でも買えるのか買えないのかという話。

買った後の生活の話は全くでてこないのです。

東京一等地のタワマンに住みながらも、日々の生活費に悩む毎日は嫌です。

もちろん、「日々の生活費を切り詰めても東京1等地のマンションを買うことが人生最大の喜びだ」という考えの人もいるかもしれませんので一概に否定はしません。

何に幸せを感じるのかは個人によって違うので、その選択は自由です。

住宅ローンと現在バイアスのワナ

人は「未来にある喜びよりも、目の前のことを過大に評価し優先してしまう」という現在バイアスの罠におちいりやすいものです。

今、目の前の喜びを優先すると将来の大きな喜びを失ってしまうかもしれません。

今、2億3億のマンションを買った場合の幸せと、買わなかった場合に得られる幸せを考えてみてもいいのではと思います。

それを確かめる方法の一つがライフプランです。

マンションを買った場合と買わなかった場合の将来のお金の比較をしてみるわけです。

マンションにお金を使う場合と、他のことに使った場合の比較をしてみると自分はどちらに幸せを感じるのか見えてくると思います。

具体的な数字で比較ができるので、現在バイアスに影響されずに客観的に判断もできます。

年収10倍の住宅ローンを借りた後も幸せな人生が送れそうなのか、少し立ち止まって考えてみても良いのではないでしょうか。

総務省の統計データによれば、2022年の共働き世帯数は専業主婦世帯数の約2倍となっています。

共働き世帯の増加にともなって、夫婦2人で住宅ローンを組むことを考える人も増えています。

そこで選択肢として出てくるのがペアローン。

ペアローンは夫婦や親子など、同居親族と一緒にそれぞれが住宅ローンの債務者(借りる人)となる方法です。

夫婦でペアローンを組んだ場合では、夫と妻がお互いに連帯保証人となります。

連帯保証人とは、一方の債務者が住宅ローンを返済しない場合に、債務者に代わって住宅ローンを返済することを約束した人が保証人です。

もし、夫が何らかの理由で返済できなくなった場合は、妻が返済しなければなりません。

その逆パターンもあるでしょう。

これからペアローンを選択する注意点などを考えてみたいと思います。

連帯保証と連帯債務の違いは?

「連帯保証」に対して「連帯債務」というものもあり、ごっちゃになりやすいのが注意ポイント。

夫婦が連帯債務で住宅ローンを借りた場合、1つのローンを2人で借りているので、住宅ローン全額の責任を2人それぞれが負う同じ立場ということになります。

ペアローンの連帯保証では契約書は2通、一方、連帯債務では契約書は1通というところにも違いが出てきます。

ペアローンのメリット・デメリット

ペアローンのデメリットは契約書が2通になるので、事務手数料や諸費用が2人分かかるということです。

どれだけの費用が増えるのかは事前に調べておく必要があるでしょう。

主なメリット

ペアローンを選ぶときは将来の計画も同時に

ここまで書いてきたことは一般的にもよくいわれることなので、私がいうまでもなかったかもしれません。

一番お伝えしたかったのは、「ペアローンで借りた後の将来計画」についてです。

ペアローンを組むご夫婦は当然、返済期間中は2人とも仕事を続ける計画です。

この計画が崩れやすいのが子供が生まれた場合。

2人で子育てを協力して一方に負担が偏らないようにすれば大丈夫ですが、夫の仕事が忙しくてあまり協力できない・・

という場合だと計画が一気に崩れます。

妻が仕事に復帰できる時期が遅くなる、または退職せざる負えないとなると、妻が借りた分の住宅ローン返済が一気に苦しくなる場合も。

また、ペアローンが問題になるのが離婚時です。

住宅を買おうとするときに、離婚のことを想像する人はいないと思いますが、現実として問題となっているケースはありますので、知識として知っておくことは必要です。

離婚後も2人で協力して住宅ローンを返済していくケースは少ないので、共有名義を一方の単独名義に変えるのが普通です。

そうなると一方の住宅ローンを一旦返済して、夫婦どちらかの単独名義に変える必要性がでてきます。

そのためには夫婦どちらかが一方の住宅ローンを肩代わりする必要が出てくるのですが、2人分の住宅ローンを1人で負うのはかなりの負担となってしまいます。

お互いに売却することを納得し、売却資金で住宅ローンを返済できるのであればそれも選択肢かもしれません。

ぺアローンで借りた将来計画がうまくいかなかった場合をご紹介しましたが、将来計画を2人でよく話し合っておけばこのような事態は避けられると思います。

お金の計画は住宅ローンを借りる前にしっかり行っておくことをおすすめします。