金融庁の高齢化社会における資産形成の提言

明るい将来のイメージ

昨日、金融庁より「高齢化社会における資産形成・管理」の報告書がとりまとめられました。

金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書

どのような内容かざっくりいうと・・

  • 寿命が延びることで、将来に必要になるお金も増えます。
  • 将来、資産が足りなくならないように、運用など自助の取り組みが必要です。
  • 自分の現在及び今後の資産や収入・支出を「見える化」して、ライフプラン・マネープランを立てることが必要です。
  • 認知症になった場合に備えて、資産管理の準備が必要です。

以前からも、将来の課題として議論されてきた内容ですので初めて聞くような話はありませんが、すべてとても重要な課題だと思います。

特に、ライフプラン・マネープランを立てて、現在と将来の収入・支出を「見える化」することが重要視されているところは注目しました。

以下より重要だと思った箇所を抜粋して、自分なりに解説しましたので、ご覧ください。

金融庁の「高齢化社会における資産形成・管理」より

夫 65 歳以上、妻 60 歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ 20~30 年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で 1,300 万円~2,000 万円になる。この金額は
あくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。

「老後のお金はいくら必要なのか?」というのは、相談者の方からもよく聞かれます。

平均的には、年金だけで不足する額は毎月5万円ですが、あくまで平均なので、個人ごとにシュミレーションする必要があります。

自分はいくら不足するのか理解したうえで、資産形成の計画を立てることが重要ですね。

「老後には2,000円必要」が一人歩きしてしまうと、みんな2,000万円準備しなといけないように思えますけど、そうではないです。

自分はいくら準備する必要があるのかを知っておくことが重要です。

 

ライフスタイルが多様化する中では、個々人のニーズは様々であり、大学卒業、新卒採用、結婚・出産、住宅購入、定年まで一つの会社に勤め上げ、退職後は退職金と年金で収入を賄い、三世帯同居で老後生活を営む、というこれまでの標準的なライフプランというものは多くの者にとって今後はほとんどあてはまらないかもしれない。今後は自らがどのようなライフプランを想定するのか、そのライフプランに伴う収支や資産はどの程度になるのか、個々人は自分自身の状況を「見える化」した上で対応を考えていく必要があるといえる。

「一つの会社に定年まで勤めあげ、まとまった退職金をもらって、老後も安泰」というような、これまでは標準的とされたライフプランがあてはまらない人も増えてきました。

自分なりのライフプランを作って、将来を「見える化」する必要があります。

 

今後は年金受給額を含めて自分自身の状況を「見える化」して、自らの望む生活水準に照らして必要となる資産や収入が足りないと思われるのであれば、各々の状況に応じて、就労継続の模索、自らの支出の再点検・削減、そして保有する資産を活用した資産形成・運用といった「自助」の充実を行っていく必要があるといえる。

ライフプラン・マネープランを立て、将来のお金が足りなくなることが分かったら、定年後も仕事を続ける、資産運用で資産を増やすなどの自助努力も必要ということですね。

年金だけでは、お金が足りなくなる人が増えることを危惧されているのは分かります。

ただ、自助努力でいきなり自分で運用しろといわれてもすぐにはできないのが現状です。

学校や企業での金融や投資の教育を充実させるなど、投資を勧める前にやるべきことがあるはずです。

金融庁はもう少し丁寧に説明しなければ、理解してもらえない気がします。

 

より利便性の高い制度を構築するため、非課税保有期間について無期限とすること、ライフプランに沿って拠出額を柔軟に変更させることができるようにすること、現在は回転売買防止の観点などから認められていないスイッチング6を条件次第で可能とすること、その他、例えば配偶者死亡時において NISA の非課税枠を引き継げるようにすることなども、検討していくべき課題であるとの指摘があった。

iDeCo についても、長寿化を踏まえ、拠出可能年齢の上限を引き上げることのほか、利便性向上や働き方の多様化等への対応、また、更なる税優遇を行うことの政策的必要性を勘案して、拠出限度額のあり方についても検討することも望ましい。

NISA や iDeCo での資産運用が税制面でも有利だということは良くお話しますが、実際に取り組まれている方はまだまだ少ないように感じます。

現在でもかなり税制面で有利な制度ですが、さらに税優遇が行われる可能性もありますので、今からでも少しづつ積み立てていくことをおすすめします。

 

特に強く求められるのは顧客の最善の利益を追求する立場に立って、顧客のライフステージに応じ、マネープランの策定などの総合的なアドバイスを提供できるアドバイザーである。

・ 顧客の状況からみて、過度にリスクの高い商品の販売を行わない等、顧客にとってふさわしいサービスを提供すること
・ 手数料の明確化
・ リスクやリターン等を顧客が自ら判断できるようにするための分かりやすい情報提供等について徹底していく必要がある。

これはみなさんに向けていうより、私たちのようなアドバイザーに求められる資質について言及されています。

相談者の方のライフステージ全体を見て、最大の利益が得られるようなアドバイスをしなければならない、とあらためて確認できました。

 

自らの現在及び今後の資産や収入・支出を把握かつ見通しを立て(「見える化」)、安定的な資産形成を行うとともに、ライフプラン・マネープランを立てることで、使うべきお金を安心して使うことが経済全体にとっても望ましいという認識を共有することが重要であろう。

将来が不安だからといってどんどんお金を使わない社会になってしまっては、経済全体にとっても良くないですよね。

どれだけのお金なら使って良いのかを把握したうえで、使うべきところには使うことも重要です。

まとめ

資産寿命を延ばすために、以下の3つのライフステージ別に行うべきことが示されています。

  1. 現役期
  2. リタイヤ期前後
  3. 高齢期

図で、どのような効果があるのか示されていますのでぜひご覧ください。

高齢社会における資産形成・管理

2019年6月12日、追記:

思っていたより世間にすごく大きな話題として取り上げられていますね。

麻生大臣は「報告書を受け取らない」などと発表し、波紋が広がっています。

事実は事実として認めて、前向きに解決する政策を考えて欲しいものです。

私たちができることは、報告書が正しいのか正しくないのかという政治的な議論に惑わされず、これをきっかけに「自分の場合はどうなのか」ということを考えてみることなのではないでしょうか。

投稿者プロフィール

鬼頭 良行
鬼頭 良行住宅不動産コンサルタント/1級ファイナンシャルプランニング技能士/宅地建物取引士
株式会社ライフオブライフ代表。
住宅相談を専門とする住宅不動産業界歴19年のファイナンシャルプランナー。買う方の立場に立った「住宅コンサルティング」「将来家計のサポート」を行う

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