金利上昇局面で世帯年収1,000万円の共働き夫婦が失敗しない住宅購入の考え方

金利上昇局面で世帯年収1,000万円の共働き夫婦が失敗しない住宅購入の考え方

30代前半〜40代前半・子育て世帯の住宅購入は慎重さがカギ

先回の記事では全世帯向けに金利上昇時代に住宅を買う場合の戦略についてご紹介しました。

今回は子育て世帯に絞った住宅購入戦略についてご紹介したいと思います。

30代前半から40代前半の子育て世帯のかたにとって今は、「そろそろ住宅購入を決断しないと」と感じやすいタイミングかもしれませんね。

子どもの成長、学区、住宅ローンの完済年齢などを考えると、時間的な余裕はあまりないなぁと感じている方も多いかもしれません。

一方で、今は金利が上昇局面にあります。世帯年収1,000万円の共働き世帯であっても、判断を誤ると教育費や老後資金を圧迫しかねません。

今回は、この世代・家族構成に絞って、家計のリスクを抑えた住宅購入の考え方を整理します。

「年収1,000万円=安心」ではない理由

共働きで世帯年収1,000万円あると、金融機関からは高額な住宅ローンを提案されやすくなります。

特に40代前半では「まだ返済期間を35年取れる」という理由で、6,000万円前後の借入が可能になることもあります。

しかし、これはあくまで“借りられる金額”です。子育て世帯にとって重要なのは、「教育費が増えても返し続けられるか」という視点です。

教育費が本格化する前に考える返済計画

30代前半〜40代前半で住宅を購入する場合、数年後には教育費の負担が一気に増えていきます。習い事、塾、中学・高校・大学と、支出は段階的に重くなります。

この時期に住宅ローンの返済額が高すぎると、「家はあるけど、教育にお金をかけられない」という状態になりかねません。

そのため、住宅ローンの返済額は、教育費が増えても耐えられる水準に抑えることが重要です。

返済額の目安は「手取りの20〜25%」を安易に信じない

一般的な目安になるのが、手取り収入に対する住宅ローン返済額の割合です。

「手取り月収の20〜25%以内に収めることで、教育費や貯蓄とのバランスが取りやすくなります。」というのはネットなどの情報でもよく目にします。

ここで注意したいのが、「今の共働き収入」と「支出」だけを前提にしすぎないことです。

共働きでも収入が減る可能性は高い

子どもの成長に伴い、どちらかが時短勤務を選んだり、働き方を変えたりするケースは少なくありません。また、親の介護や自身の健康問題が出てくるのも、この年代です。

そのため、「どちらか一方の収入が減っても回るか」を基準に返済額を決めておくと、家計は格段に安定します。

“年収”だけで判断しない

手取り収入に対する住宅ローン返済額の割合だけで決めてしまうのは危険です。

収入は同じだとしても、家計によって支出はまったく違う場合もあります。

同じ世帯年収1,000万だとしても同じ額のお金を毎月使うわけではないですよね。

ですので、個別の家計の支出額で判断する必要があります。

わが家の支出をしっかり書き出して、将来どのくらいの支出がありそうなのかを見極める必要があります。

金利タイプの選択は“リスク”も考える

金利が上昇している局面では、低金利だけを理由に変動金利を選ぶのはリスクがあります。

返済期間が長く、教育費のピークと重なる年代だからこそ、将来の金利上昇は家計に直撃します。

変動金利を選ぶのも決して間違いではありませんが、金利が上がっても耐えられる家計なのかを確かめておくことが重要です。

全額固定にするのが不安な場合は、固定金利と変動金利を組み合わせる方法もあります。「最低限この金額なら安心して払える部分」を固定にするイメージです。

住宅費は“住んでから”も続く

住宅購入では物件価格に目が行きがちですが、住み始めてからも支出は続きます。マンションであれば管理費や修繕積立金、戸建てであれば将来の修繕費用です。

特に子育て世帯では、これらの固定費が教育費と重なる点を意識しておく必要があります。

頭金と貯蓄のバランスを崩さない

頭金を多く入れることで借入額を抑えるのは有効ですが、貯蓄を削りすぎるのは危険です。

貯蓄をうまく資産運用できるのであれば、あえて頭金を多く入れすぎない選択もありだと考えます。

ただし、しっかりと自分で資産運用する準備ができていることが大前提です。

それでも教育費や急な出費に備え、最低でも生活費の1年分程度は手元に残しておきたいところです。

まとめ:子どもと将来を守る住宅購入を

30代前半〜40代前半の子育て世帯にとって、住宅購入は家計を左右する大きな決断です。金利上昇の時代だからこそ、「今払えるか」ではなく、「教育費と両立できるか」「将来も無理なく続けられるか」を軸に考えることが重要です。

家を買うこと自体が目的にならないよう、家族の安心と選択肢を守る住宅購入を心がけていきましょう。

鬼頭 良行のプロフィール写真

株式会社ライフオブライフ代表。 住宅相談を専門とする住宅不動産業界歴26年のファイナンシャルプランナー。買う人、売る人の立場に立った「住宅不動産コンサルティング」「将来家計のサポート」を行う