「2人に1人はガンになる」の裏側にひそむウソや勘違い
「2人に1人はガンになる時代」
保険会社のキャッチフレーズとしてもよく見かけますねー
こんなこといわれたらドキッとしますよね。
・・でもこれって本当に怖いこと?
という話を今日はしたいと思います。
「2人に1人はガンになる時代」
多くの人に恐怖を感じさせる意味においては、よくできたキャッチフレーズだと思います。(皮肉をこめて)
「がん怖い!」と思ってもらえれば、がん保険に入る人も増えるでしょうから。
「2人に1人はガンになる時代」なんて言われたら誰でも怖くなりますよ。
誰でもいつがんになってもおかしくないかも・・という印象を持ってしまうかもしれませんね。
でもちょっと待ってください。
がんになる人が増えているのは当たり前のことじゃないですか!?
まずは、下のグラフをみてください。
年齢別のがん罹患率(がんになる割合)を表したグラフです。
資料:国立がん研究センターがん対策情報センター「がん登録・統計」
年齢が高くなるほどがんになる確率は高くなっていますよね。
若くしてがんになる人ももちろんいますが、基本的にがんは年齢を重ねるほど罹りやすい病気なのです。
いまや日本は高齢化の真っただ中です。
高齢者が増えれば、がんに罹る人が増えるのはしごく当然のことなのです。
ですから、最近になって急にがん細胞の増殖力が強力になり年齢関係なく、若い人でもがんに罹る人が増えている!なんてことはないのです。
「年齢にかかわらずがんに罹る人が増えている」というウソを信じてしまっている人や、勘違いしている人が周りにいたらぜひ教えてあげてください。
高齢者が増え、がんに罹る人が増えているのは本当のことですが、こんなデータもあります。
これは、「高齢化の影響を調整した場合」のがん死亡率推移を表したグラフです。
資料:国立がん研究センターがん対策情報センター「がん登録・統計」
例えば
20代の人100人と、80代の人900人の世界
20代の人900人と、80代の人100人の世界
があったとします。
2つを比べれば、上の世界のほうががんの死亡率は高くなってしまうので、年齢の影響は取り除いて比較してみよう!というデータです。
高齢化の影響がなかったとしたら・・
ここ20年ぐらい逆に死亡率は下がっているのです!
ここまでのデータで分かったことは・・
- 高齢化の影響で一生のうちでがんになる人は増えているが、若い人のがん患者が増えているわけではない。
- 高齢化の影響がなかったとしたら、がんの死亡率は下がっている。
という事実です。
まとめ
「2人に1人はガンになる時代」と聞けば、誰でも恐怖を感じます。
そして「恐怖」というのがやっかいです。
「恐怖」を感じた時点で、感情を揺さぶられていることになります。
感情が先行すると、なかなか理屈で考えることは難しくなります。
裏側にある真実にはなかなかたどりつけません。
「2人に1人はガンになる時代」のキャッチフレーズの裏側にも色んなウソや勘違いが潜んでいました。
科学や医療の進歩により、今や 6 割近くの「がん」は治ると言われています。
早期発見なら約 9 割。
「がん保険」に入るより、早期発見のために定期検診を受けることが重要なのはいうまでもありませんね。
感情で動くのではなく、まず裏付けとなるデータを見てから行動するとより良い選択ができますよ。