外貨建て保険のワナ

先日「生命保険会社が銀行窓口などを通じて販売する「外貨建て保険」で苦情が急増」との記事が新聞社のネット記事に出ていました。

特に60歳以上の高齢者からの苦情が多く、12年度の調査に比べ17年度は5倍近くに増えているとのことです。

外貨建て保険とは、米ドル、豪ドルなどの外貨で積立て運用し、保険金の受け取りも外貨で行われる商品です。

外貨建て保険については多くの専門家はもちろん、金融庁までが問題点を指摘しているのにもかかわらず、保険会社、銀行の販売姿勢が変わっていないことに対しては、残念な気持ちと共に怒りも覚えます。

私も若いころに、保険屋さんの「保険の機能もあるし、金利が高い外貨で運用するのできっと将来増えますよ。」という甘いセールスに引っかかってしまい痛い失敗をしましたので、まったく他人事ではありません。

その時は、なんとなく「外貨で運用する」というのがカッコ良い響きがして加入してしまいました。

(自分の浅はかさを反省しながら、解約控除金という名の高い授業料を支払ってすでに解約しています。)

保険はライフプランにおいて重要な要素となるので、失敗はして欲しくありません。

保険選びで間違いをおこすと大きな損失を被ることもあります。

外貨建て保険はなぜおすすめできないのか、その理由について詳しく説明していきます。

 

外貨建て保険をおすすめできない理由

 理由1 販売手数料が開示されていない

販売手数料はほとんど開示されていませんが、4~9%ぐらいといわれています。

投資信託で比較的手数料が高い商品でも2~3%です。

保険会社が積極的に外貨建て保険を売る理由が分かりますよね。

手数料が高いのはもちろんのこと、そもそも開示されていないというのが一番の問題でしょう。

誤解して欲しくないのは手数料を取るなと言っているわけではありません。

商売ですから、適正な手数料を頂いて利益を得るのは当然のことです。

適正な手数料を開示したうえで、納得した人に買ってもらうべきなのです。

投資信託は手数料の開示がされています。

同じ金融商品なのになぜ、保険なら手数料を開示しなくて良いのでしょうか?

その正当な理由はまったく思い当たりませんので、保険の手数料も自主的に開示されるべきです。

 理由2 為替リスク

寄せられた苦情の半分近くが「元本割れリスクについての説明不足」だったようです。

例えば、1ドル=100円の場合と、1ドル=80円の場合を比較すると、20%もの為替差損を被ります。

例え外貨で運用して日本円より高い金利を得られたとしても、為替差損がそれを上回ればトータルでは損をしたことになります。

そもそも経済原理からみると、通貨の金利が高いということは、信用力が低いということです。

高い金利を支払わないと買ってもらえない通貨であるといえます。

長期的には信用力の低い通貨は価値が下がり、インフレが進行することで、通貨安になっていく傾向にあります。

その通貨からみれば円高になっていくということです。

大幅な円高になれば為替差損を被ります。

実際に相談者の方から聞いた話では「今は円安ドル高傾向ですから、しばらくはこのままですよ~」というセールストークをされたそうです。

保険をセールスする方が為替の変動を正確に予想できるというならば、自分で為替取引を行えば大儲けできますよね。

保険を売っている場合ではありません。

為替の楽観的な見通しを強調する人がいたらまず、怪しいと疑ってください。

 理由3 満期前に解約すると大きく目減りする

満期前に解約すると解約控除費用が差し引かれます。

解約控除費用とは、「契約後、一定期間内の解約時に積立金から控除される費用」です。

保険会社が「独自の計算方法で導き出した金額」が費用として差し引かれるというわけです。

ある生命保険会社の米ドル建て終身保険、25年満期の商品を3年目に解約すると・・

(1ドル=100円が継続したとして)

積み立てた額の 61.3% しか戻ってきません。

10年目の解約でも 86.3% です。

開示されている情報が限られているので分岐点は不明ですが、少なくとも20年目より前に解約すると元本割れしてしまうことは確かです。

ちなみにこの会社は情報を開示しているだけまだ良心的です。

「控除額については、経過期間などにより異なるため、一律には記載できません 。」などの一言で開示されていない会社がほとんどですので。

 

外貨建て保険でなくては目的は果たせないのか?

外貨での運用をやりませんか?といわれたらすぐにやります!という人は少ないと思います。

それが、保険と外貨が合体するとなぜか加入してしまう・・不思議ですね。

商売としては日本人の保険好きな心理をついた上手い商品だなぁとは思います。(皮肉をこめて)

保険にも加入したくて、外貨での運用もやってみたいということであれば、外貨建て保険が唯一の選択肢というわけではありません。

保険は保険だけで加入して、外貨は外貨だけで切り離して運用すれば良い話です。

外貨なら外貨預金、FX、外貨建ての投資信託などで運用できます。(高レバレッジでの取引にはくれぐれもご注意を)

どのような目的で外貨建て保険を検討するかにもよりますが、必要となる時期が決まっている資金を外貨建て保険で運用するのだけはおすすめできません。

保険料、満期解約金、解約返戻金を受けとりたいけど円高になっている・・という場合は、ドルのまま据え置ける時間的な余裕があれば、為替リスクも少しは減らせます。

将来、円安になる時期をじっく待って受け取る選択も可能になりますので。(円安になる時期が来るとは限りませんが)

外貨建て保険を検討する余地のある人がいるとしたら、「必要となる時期が決まっていない余剰資金で、多少多めに手数料を払っても、手間をかけずに、保険と外貨運用を行いたい」という限られた条件にあてはまる人だけです。

まったく知識がない状態で、保険を売る側のセールストークに対抗するのは困難です。

保険を検討する際は最低限の知識を得てから窓口に足を運んでください。

予備知識なしに保険を買いに行くのはあまりに無防備です。

さらに、大原則として「自分が少しでも理解できない商品」は買わないということです。

最低限、この原則を守っていれば自分と家族を守ることができます。

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